騎手と馬の信頼関係

競馬のレースでは、騎手と馬の信頼関係が大事になる。

というのは、レースは人間でいう中長距離走。100m走のようなも短い距離を走るのではないので、最初から全力で走って勝てるレースはありません。競馬では最短距離となる1000mのレースでも、ペース無視で飛ばせば馬はバテてしまい、レースになりません。となるペース配分が必要になります。そこで騎手の出番になります。

馬からすれば、ペース配分なんて考えません。本能のままコースの上を全力で走りたいと思っています。しかし、それではレースの前半でバテてしまいますから、馬を適切なペースで走らせるよう、騎手がコントロールするわけです。

「折り合い」とよばれる騎手のコントロールはきわめて重要で、馬が騎手の指示に従っていれば、「折り合っている」と表現されます。ただ、思い切り走りたい馬は、往々にして騎手の指示に従わずオーバーペースになりがちです。そのような、騎手と馬のリズムが合っていない状況、制御が利かない状況を「引っ掛かっている」といいます。

この折り合いこそ、騎手のコミュニケーション能力が発揮される場。同じ馬でも、指示を出される相手(騎手)によって、従ったり従わなかったりするのです。当然、馬を思い通りに従わせる騎手はレース結果もよくなりますから、「上手い」と評されるわけです。

こうしてみると、いかに競馬が奥深いものかお分かりでしょう。